「五木の子守唄」の歌詞いろいろその1

 
村内に新しくできた橋の欄干のレリーフです
 

 五木の子守唄の歌詞は様々なものが伝えられています。伝承者によって似たようなものもあれば、ひらがな漢字などを含め、記述した人によっても微妙に違いもあります。以下、五木村の頭地資料室「やませみ」でいただいたものです。


 
伝承者 三浦一雄
ねんねしなされ 早起(はやお)けなされ
朝は六時にゃ(お寺の)鐘(かね)が鳴る

おどま盆(ぼん)ぎり盆ぎり 盆から先ゃおらんと
盆が早よくりゃ 早よもどる

おどまくゎんじんくゎんじん ぐゎんがら打(う)てさるく
ちょかでままたゃて ろにとまる

おどんが打死(うちん)ちゅうて 誰(だい)が泣(に)ゃてくりゃか
裏の松やみゃ せみが鳴く

せみじゃござらぬ 妹でござる
妹泣くなよ 気にかかる

花は何の花 つんつん椿
水は天から もらい水

おどんが打死んだら おかん端(ばちゃ) いけろ
人の通る数 花もらう
伝承者 吉松 保
おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先ゃおらんと
盆が早よくりゃ 早よもどる

おどまかんじんかんじん あん人たちゃよか衆(し)
よか衆ゃよかおび よか着物(きもん)

おどんが打死だときゃ 誰が泣(に)ゃてくりゅか
裏の松山ゃ せみが鳴く

せみじゃござらぬ 妹(いもと)でござる
妹泣くなよ 気にかかる

おどんが死んだなら 道端(みちばち)ゃいけろ
ひとの通るごち 花あげる

辛(つら)いもんだな 他人の飯(めし)は
煮(に)えちゃおれども のどにたつ
伝承者 川辺 みゆき
おどまいやいや 泣く子の守にゃ
泣くといわれて 憎(にく)まれる
泣くといわれて 憎まれる

おどんま盆ぎり盆ぎり 盆から先ゃおらんと
盆が早よくりゃ 早よもどる
盆が早よくりゃ 早よもどる

花は何の花 つんつん椿
水は天から もらい水
水は天から もらい水
伝承者 堂坂 よしこ
おどまいやいや 泣く子の守にゃ
泣くとゆわれて 憎まれる
泣くとゆわれて 憎まれる

ねんねした子の かわいさむぞさ
起きて泣く子の 面憎さ
起きて泣く子の 面憎さ

おどんがお父つぁんな あの山ゃおらす
おらすと思えば 行こごたる
おらすと思えば 行こごたる 
伝承者 中園 スナ(故人)
おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先ゃおらんと
盆が早よくりゃ 早よもどる
盆が早よくりゃ 早よもどる

ねんねした子の かわいさむぞさ
起きて泣く子の 面憎さ
起きて泣く子の 面憎さ
 
 
熊本弁 意  味
おどま 私は、私たちは
盆ぎり お盆まで
くぁんじん 勧進は社寺仏閣の建立等の為の寄付募集。転じて、こじき
ぐぁんがら 空き缶
打てさるく 打ちながら歩き回る。打ちながらうろうろする
ちょか やかん
ままたゃて 飯を炊いて
「ど」のこと、「どう」すなわち神社のお堂のこと
泣ゃてくりゅか 泣いてくれようか
やみゃ
おかん端ゃ おかんは往還(おおかん、人通りの多い道)で、道端のこと
むぞさ 可愛さ、むぞか(可愛い)の名詞形
おらす 居るの敬語
いこごたる 行きたい

 五木の子守唄の「歌詞をもっといろいろ知りたい」というメールを幾つかいただき、本ページを作成することしました。なお、やませみとは別に、五木村役場にも別件で問い合わせいたしましたところ、役場のほうからも歌詞を送っていただきました。五木村役場ならびに頭地資料室「やませみ」のご協力に感謝申し上げます。歌詞は他にもいろいろあるようで、人吉高校五木分校の高校生が村内で聞き取り調査を行って、とりまとめた資料というのもいただきました。

制作:熊本国府高等学校パソコン同好会

最終更新:2008/08/26


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