熊本文学散歩


漢字について

 外来語の漢字表記を紹介するページを作成し、漢字に興味を抱きはじめました。文学散歩の「文学」と言えば「文字」が必要、「文字」と言えば「漢字」。そこで、ここ熊本文学散歩でも「漢字特集!」をと、閲覧者の方(お許しを得ています)よりいただいた情報を集めて紹介致します。
 

和製漢語:
日本で作られた和製漢語は漢民族に多大の影響を与えています。中国の辞書『漢語外来詞詞典』(上海辞書出版社 1984年)では
 
文学
日本人が英語 literature を翻訳して作った和製漢語ですが、その際、孔子{論語 先進}を参考にした。
 
と、あります。 「文学」以外にも、時間、空間、建築、交通、交際、教養、交換、教科書、解剖、経済、精神、立場、商業、図書館、文化、物理、文明、講演、講座、講習、講師、指数、交響楽(森鴎外訳とも)、序曲、序幕、小夜曲、記号、直接、間接、肯定、否定などはすべて和製で、中国にも輸出されています。更にその中の多くの和製漢語が韓国・朝鮮・ベトナムでも使用されていることは誇ってもいいのでは。『漢語外来詞詞典』には、684語以上が紹介されています。
 
 「熊本文学散歩」として使われている意味の「文学」が、明治初期に literature の翻訳語として日本で創作されたものとは驚きです。「文学」を手元の『新撰国語辞典』(小学館)で調べると「〇彖曄Υ蕎陲篌然を、言語・文字で表現した芸術作品。文芸。詩歌・小説・戯曲・随筆・評論など。∧験愃酩覆鮓Φ罎垢覲慳筺J厳欒悄」とありますが、漢和辞典の『漢字源』(学研)には「ヽ慳筺Τ愀檗官名。書籍の校正、文書の作成などをつかさどった。4蕎陝思想などを、言語によってあらわした芸術。詩歌・小説・戯曲など。な厳櫃鮓Φ罎垢覲慳筺」とあり、漢和辞典が本来の意味に重きを置いていることが解かります。文学の本来の意味は「儒学を中心とした文字で書かれた学問」とか「学問を司る役職名」だったようです。

 しかし、本来の言葉の意味を勝手に変えたり、決めたりしてもいいのでしょうか。混乱することはなかったのでしょうか。当時、本来の意味はさほど広まっていなかったのかも知れませんね。疑問も次々、まさに興味は尽きません。
 
漢字の造語語尾:
例えば 
人生観、世界観等の「・・・・観」
近代化、現代化等の「・・・・化」
一般性、抽象性等の「・・・・性」

「・・・・観」「・・・・化」「・・・・性」等が、日本生まれというのも驚いたのですが、他にも中国語に影響を与えた接尾語的な用法が沢山あるようです。
 
国字(日本生まれの「漢字」):
 日本で創られた「国字」もいろいろあります。ちなみに、日本国字で「大陸での辞書」に出る漢字は「畑」、「腺」の二字です。毛沢東の書籍の中、日本人姓「畑」が出た為とされている、意味は「日本人の姓」。「腺」は医学用語(扁桃腺など)に用いられる。台湾の辞書には「畑」に「ハタケの意味がある」と聞きました。

 峠、畑、畠、杜、凧、栃、樫、桝、笹、込、辻、鮭、鯰、鰯、鰹、簗、腺、俣、搾、働、鞄、鋲などはすべて日本の国字。えっーと驚いてしまいますね。このほかにもたくさんあるようです。多くが会意文字(既存の象形文字または指事文字を組み合わせて作られた文字、例:「風」が「止」むので「凪」)です。国字は訓読みだけしかないものが大半ですが、中には音訓ともあるもの(働、搾など)や音しかないもの(腺など)も。

 ところで、国字は日本以外の漢字文化圏にもあります。韓国には韓国の国字(韓文漢字という)、ベトナム(現在では漢字は使われていない)にはベトナムの国字があるそうです。
 
「はな(花)」いろいろ:
 様々な辞書で調べてみると、現代中国語では「花」は口語、「葩」、「英」は文語、「華」は古語(六朝時代以前【下記注】は「華」がハナ、六朝時代に漢字「花」{「華」の俗字とも}誕生、以降「華」「花」を混用、現代では「花」。また、諸橋『大漢和辞典巻九』690頁に「草の花」を意味する一字の漢字があります。クサカンムリの文字で「花」の「イ」の代わりに「月」「ヒ」の代わりに{汚}のサンズイを取った字。

英について: 
 『現代漢和』木村他(大修館)では「ふさになって咲く花」。『漢語林』鎌田他(大修館)}{大漢和辞典 諸橋}では「はな、特に咲いても実のならない花を言う。むだ花と説明が異なります。中国語の辞書『新華詞典』(商務印書館)、『現代漢語詞典』(商務印書館)にはその説明は無く、「英」は「葩」と同様「花」の文語と説明しています。

 「はな」は古事記では「波那」、万葉では「波奈」と書いているようです。「はな」の表記(『日本国語大辞典』小学館)はその他にもあるらしい。

『字統』白川静(平凡社)によると、北魏の大武帝の始光二年(425年)、新字千余を作ったことがあり、「花」はそのときのものであろうとされている。
 
 本校の別ページ「四季の花」では、野花の写真、桜やヒガンバナの開花情報など紹介していますが、そこではすべてが「花」を使っています。「はな」を意味する漢字がいろいろあり、それぞれに特別な意味があるとは、まさに「はな」いろいろ。人々が「はな」に関心を持ち、「はな」の一つ一つを区別し、それぞれに異なる文字を造り出してきたのでしょう。花に関心を持ってゆっくりと観察できるということは「平和」っていうこと。花は平和の象徴でも!

 

 教えていただいた漢字情報をもとに作成したのですが、幾つもの情報を継ぎ接ぎし、更には私たちの勝手な感想等を挿入しましたので、文面がおかしくなったところもあるかと思います。日本生まれの漢字(国字)や漢字語(和製漢語?)が漢字の本家である「中国」でも使われているということに驚きました。漢字は全て中国生まれかと思っていましたが、日本生まれの漢字や漢字語(熟語)も重要な役割を担って漢字「文化」に貢献していることを知り、何ともうれしくなりました。古来、中国「文化」に支えられてきた日本「文化」ですが、本家中国に少し恩返しができたということですね。
 別ページで外来語の漢字表記を作成したことで、漢字の面白さに気付き、興味を抱きはじめています。覚えるのが大変で、苦手意識が強かった漢字ですが、「知識が広がることは楽しい!」ことだと気づきました。無理して覚えようとしなければ、苦になりません。暗記する必要なんて無い、忘れたものは調べれば済みます。無理に暗記することと知識は違うことにも気付きました。何となく「新しい(?)勉強」をした気分に浸っています。漢字は奥が深い!(2005/11/16)

最終更新:2006/11/03

<制作>熊本国府高等学校PC同好会


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