参考資料「漢字関連メール」

 漢字に関するメールをいただきました。大変参考になりますので、ここに紹介させていただきます。なお、ここに紹介する文章はいただいたメールの全文でなく、個人情報に関する部分などを割愛いたしましたので、意味が通じない部分があるかと思います。お断りしておきます。閲覧者のみなさまに支えられてきた本校のWEBサイトです。今後ともよろしくお願い致します。(2008/03/18)


 
野球用語の対応漢字には大笑い。しかし今でも使っているものが沢山ありますね。豪速球、三振、犠打、凡打、遊撃、捕手、送球、返球、本塁打、救援、死球、四球、併殺、塁審、打順、走塁、二死満塁、生還などなど。活字だけでなく実況放送でも頻繁に使われます。放送で「打順が変わりました」は何と言う? 「バッティングオーダーが変わりました」というより速いね。まだ日本語が便利な場合もあるということ。むしろ逆に英語でなんと言うか知らん人もいる。

地名などの漢字には、これまた驚き。よくまあ考えたね。私たちの時代の地図に書いてあったのを覚えていますから地名は大体読めました。Hollywoodが聖林というのはそのまま。しかし New York が紐育というのは根拠不明。English の英吉利は末尾が抜けとる。今私たちがイギリスと言っているのは元はイングリッシュなんですね。明治の人にはそう聞こえたんですね。ギヤマンもダイヤモンドでしょう。キリシタンはクリスチャン。ジョン万次郎はどの程度正確に発音していたのか疑わしくなります。しかし何でまた漢字にしなければならなかったのでしょうね。日本には便利で読み間違いのない平仮名も片仮名もありました。

例えば幕末や明治維新の時点での日本の識字率を見ると欧米に比べて桁違いに優秀でした。それは日本人が漢字を基礎にして平仮名と片仮名を発明したからです。武士が論語や孟子を読んでいる傍らで町民はオール平仮名のかなり高度の印刷物を読んでいました。徒然草にしても相当大勢の国民が読んだのです。「なりた」さんは奈利太を崩したものでしょう。

中国語には平仮名や片仮名がないので外国の人名や地名をみんな漢字に置き換えなければなりません。これが大変なんです。先生も機会があったら中国の新聞や出版物をお読みになると面白かですよ。きっと吹き出すよ。かなり無理してる。地名もさることながら政治家や芸能人が面白い。私は語専の第二外国語で中国語を学びましたので少しは我明白中国語です。だから意味とは関係なくただただ無理やりに当て字をしているのが滑稽なんです。

漢字の家元中国が近年やたらと文字の簡略化を進めているのは悲しいことですね。由緒正しい漢字が残るのは日本だけかもしれませんが日本でも略字がまかり通っています。例えば国分も以前は國府でしたし学校も以前は學校でしたよね。済々黌も本当は濟々黌でしょう。私たちの小学校時代の書取りは大変でした。一生懸命覚えたのに今では使えなくなりました。読める人が少なくなったからです。当用漢字などで漢字の使用を制限するのもおかしな話ですね。新聞を読んでも半分漢字で半分平仮名でかえって解りにくくなっていることが多いです。例えば「かい(乖)離」とかね。そのくせ人名漢字はまさにヤリバナシ。鬼、悪、妾、癌、狂、乱、何でもよろし。そういえば昔「杉狂児」という俳優がいましたね。作家では乱歩とか。

(以上、2008/03/16)

 中国語の中で使われている和製接尾辞と、和製漢語の一例として実践論の一部を紹介していただきました。原文(中国語)の黄色緑色で示した文字が和製漢語とのことです。



1)和製接尾辞 『中国と日本』陳生保よりですが、陳さんも何処から引用したかを明確にしていないようです。 2)『実践論』毛沢東 {『中国と日本』を参考にして}作成しました。確かに和製漢語の比率はナカナカのものです。しかし「日本人が漢字・漢字の造語力をとおして学んだことも大変多く、森本哲郎さんなんかはそういう(=中国から学んだことを評価する、日本人はテングになるな!)立場から、常用漢字をもっと増やせという意見のようです。」このあたりをうまく表現しないと・・・ご参考まで。(2005/11/21)



1)和製接尾語
  (1) 化
  (2) 式(西洋式 新式)
  (3) 炎(肺炎 皮膚炎)
  (4) 力(労動力 表現力) 
  (5) 性 
  (6) 的(科学的 絶対的)
  (7) 界(文学界 教育界)
  (8) 型(新型 標準型)
  (9) 感(好感 危機感)
  (10)点(重点 注意点 観点 終点)
  (11)観
  (12)線(生命線 警戒線)
  (13)率(生産率 使用率)
  (14)法(表現法 選挙法)
  (15)度(進度 強度)
  (16)品(作品 記念品)
  (17)者(読者 著者)
  (18)作用(心理作用 精神作用)
  (19)問題(社会問題 民族問題)
  (20)時代(鉄器時代 原子時代)
  (21)社会(封建社会 国際社会)
  (22)主義(自然主義 浪漫主義)
  (23)階級(地主階級 資産階級)



2)実践論



実 践 論
論認識和実践的関係――知和行的関係(一九三七年七月)

 馬克思以前的唯物論,離開人的社会性, 離開人的歴史発展,去観察認識問題,因此不能了解認識対社会実践的依頼関係,即認識対生産階級闘争的依頼関係
首先, 馬克思主義者認為人類的生産活動是最基本的実践活動,是決定其他一切活動的東西。人的認識,主要地依頼於物質生産活動,逐漸地了解自然現象,自然的性質,自然的規律性,人和自然関係;而且経過生産活動,也在各種不同程度上, 逐漸地認識了人和人的一定的相互関係。一切這些知識,離開生産活動是不能得到的。在没有階級社会中,毎個人以社会一員的資格,同其他社会成員協力,結成一定的生産関係,従事生産活動,以解決人類物質生活問題。在各種階級社会中,各階級社会成員,則又以各種不同的方式,結成一定的生産関係,従事生産活動,以解決人類物質生活問題。這是人的認識発展的基本来源。



黄色い漢字歴史問題活動 以上は陳生保 『中国と日本』(麗澤大学出版2005年5月)中で和製漢語と説明しています。
緑の漢字唯物論社会性 他は『漢語外来詞詞典』に収録されている和製漢語です。



実 践 論
認識と実践の関係―――知と行の関係(一九三七年七月)

マルクス以前の唯物論は、人間の社会性をはなれ、人間の歴史的発展をはなれて、認識の問題を考察した。従って、社会的実践に対する認識の依存関係、すなわち生産と階級闘争に対する認識の依存関係が理解できなかった。
 まず第一に、マルクス主義者は、人類の生産活動がもっとも基本的な実践活動で、その他のすべての活動を決定すると考える。人間の認識は、主として物質の生産活動に依存して、次第に自然現象、自然の性質、自然界の法則性、人間と自然界との関係を理解するようになる。しかも生産活動をつうじて、人と人との一定の相互関係をも、さまざまな程度で、次第に認識するようになる。これらの知識は、生産活動をはなれては何一つ得られない。階級のない社会では、人類の物質生活の問題を解決するために、それぞれの人が社会の一員として、社会の他の成員と協力し、一定の生産活動をむすんで、生産活動に従事する。また、さまざまな階級社会では、人類の物質生活の問題を解決するために、各階級の社会の成員が、さまざまの異なった様式で一定の生産関係をむすんで、生産活動に従事する。これが人類の認識の発展する基本的要因である。

(以上、2005/11/21)
 

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