熊本文学散歩


 桃井祐一先生と、桃井恵一先生(京都創成大学講師)が翻訳された LAFCADIO HEARN の“THE FUTURE OF THE FAR EAST(極東の将来)”を紹介します。小泉八雲研究資料としてばかりか、21世紀の日本や世界を考える上でも大いに参考になりそうです。極東とは日本だけではありません。そこで、日本語訳のほかに韓国語訳中国語訳も。すべて桃井先生より提供いただいたものです。ありがとうございました。


「極東の将来」の題字は鈴木充先生による

LAFCADIO HEARN “THE FUTURE OF THE FAR EAST”

桃井恵一・桃井祐一 共訳


はじめに

 この文章は、ラフカデイオ・ハ−ン(日本名小泉八雲)の“THE FUTURE OF THE FAR EAST”の翻訳である。
 ハ−ンは1891(明治24)年11月から1894(明治27)年10月まで、熊本の第五高等中学校で英語の教師をしていた。1894(明治27)年1月27日、ハ−ンが五高生・職員を前に‘THE FUTURE OF THE FAR EAST’と題して講演した。その草稿にハ−ン自身加筆したのが、この“THE FUTURE OF THE FAR EAST”(邦訳題名『極東の将来』)であり、1894(明治27)年6月発行の五高校友会誌『龍南会雑誌』の付録に掲載された。原文を末尾に転載した。
  
 この論文は日本人への忠言であったし、また人類への警鐘でもあったと思われる。地球環境問題が深刻化しつつある現在、我々が今後歩むべき道を模索し実践する上で、今も我々に多くの示唆を与えてくれるのではないかと考える。『極東の将来』に示された次の一節「生存最適者は自然と最もよく共生でき、必要最小限の生活で満足できる人々である」というハーンの世界観を自覚したい。その世界観が持つ今日的・未来的意義を地球を愛する世界の若者たちに知ってもらいたいと切望する。


 翻訳にあたり、第五高等学校関係者をはじめ、熊本大学関係者、小泉凡先生、米子高専建築学科学生諸君、米子市立後藤が丘中学生徒諸君、友人、知人から多くを学んだ。ここに衷心より感謝する。

1998年11月


改訳にあたり

 全国五高会会報第68号に掲載された高宮昇訳“極東の将来”の訳語‘装備、制覇、有事’等9箇所の 使用を申し出たところ、快諾を得た。ここに記して深謝する。

2000年12月

日本の高等学校には二種類ある。第一は第二次世界大戦前の高等学校であり、第二は戦後に発足した高等学校である。前者を旧制高等学校、後者を新制高等学校と区別することがある。第五高等学校は旧制高等学校である。1887(明治20)年4月第五高等中学校として創立。1894(明治27)年に公布された《高等学校令》により、第五高等学校と改称された。1949(昭和24)年第五高等学校・熊本医科大学・熊本薬学専門学校・熊本工業専門学校・熊本師範学校男子部女子部・熊本県女子師範学校・熊本青年師範学校が合体し、熊本大学が誕生した。一方新制高等学校は1948(昭和25)年発足今日に至っている。
 
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<制作>熊本国府高等学校パソコン同好会


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