資料「尺貫法しゃっかんほう


尺貫法・・・日本古来の長さ,重さ,面積,体積を測る単位


 尺貫法とは,長さの単位に「尺」,重さの単位に「貫」を基本単位とする日本古来の度量衡法です。明治以降も使われてきましたが,昭和41年(1966年),尺貫法を取引および証明の計量に用いることは禁止されました。しかし,古代の「肥後の国府」を調べていく中で,距離を表す「里」「町」などの単位が出てきたのが本ページ作成のきっかけでした。
 

度(長さ)
 
尺貫法 メートル法
0.1 厘 0.03030303 mm
0.1 分 0.30303030 mm
0.1 寸 3.03030303 mm
0.1 尺 3.03030303 cm
10/33 m 0.303030303 m
10 尺 3.030303030 m
6 尺 1.818181818 m
60 間 109.0909091 m
36 町 3927.272727 m

 メートル法への換算が 1尺=33分の10 m で,循環小数になっているため,面積や体積も面倒な数値に。
 
 
地積(面積)
 
尺貫法 メートル法
0.1 合 0.033057851 平方m
0.1 歩 0.330578512 平方m
坪(歩) 6 尺平方 3.305785124 平方m
30 坪 99.17355372 平方m
反(段) 10 畝 991.7355372 平方m
10 反 9917.355372 平方m

 坪は住宅の面積に使われ、歩は田畑や山林の面積に使われる。
 
量(体積)
 
尺貫法 メートル法
0.1 合 18.03906837 cc
0.1 升 180.3906837 cc
64827 立方分 1803.906837 cc
10 升 18.03906837 リットル
10 斗 180.3906837 リットル

 1升ますの内径は 4.9寸×4.9寸×2.7寸 と定められている。
 
 
衡(重さ)
 
尺貫法 メートル法
0.1 厘 0.00375 g
0.1 分 0.0375 g
0.1 匁 0.375 g
0.001 貫 3.75 g
1000 匁 3.75 kg
160 匁 600 g

 元々,1文銭の重さから「文目(もんめ 1文の目方の意味)」と呼んでいたのが「もんめ」と書くようになった。現在の5円硬貨の重さも3.75gで,ちょうど1匁。1文銭1000枚を紐で貫いて使う習慣ができ,それを1貫匁または1貫と呼ぶようになったようです。すなわち,1000匁が1貫,明治時代にメートル法との換算を「1貫=3.75kg」とした。ところで,匁という単位,真珠の重さを表す単位として国際的に使われているそうです。

 1(しょう)(ます)の内径「4寸9分四方で,深さが2寸7分」とは半端な値です。実は,江戸時代初め頃,江戸で使われていた枡は「5寸四方で,深さが2寸5分」でした。それに対して,当時の経済の中心地だった京や大阪では「4寸9分四方で,深さが2寸7分」の枡(京枡)が使われていました。この京枡が江戸にも出まわり始め,枡の大きさがばらばらでは都合が悪いと,幕府は寛文9年(1669)に京枡に統一します。このとき「口を1分ずつ短くし,深さを2分増やしたので,容量は変わらない」と説明したそう(本当かな?その場で量ってみれば直ぐ分かりそう)です。枡は年貢米を量る大切なもの,容量が大きくなると年貢米を多く出さなければならなくなります。この場合,実際に容量を計算してみると

江戸枡・・・ 50×50×25=62500
京枡・・・・・ 49×49×27=64827

 京枡は江戸枡より大きくなっています。年貢を取るほうは儲かりますが,取られるほうは損。京枡を採用した幕府の考えは分かります。計算すれば明らかですが,計算に疎いと騙されても気付きません。面倒がらず計算する習慣を身に着けることが大切です。別ページ楽々計算術でも読んで,計算に強くなりましょう。


 ところで,同じ単位が長さと面積(町),面積と体積(合),長さと重さ(分)にありますが,混乱しなかったのでしょうか。更には,1フィートは約30.48cm,1尺(約30.3cm)に近い値です。普通のポンドは1ポンド約453gですが,金銀・薬用のトロイポンドというのは,1ポンドが約373gだそうで,ほぼ100匁(375g)です。こんな関係,偶然なのでしょうか。遠く離れた東洋と西洋,長さや重さに対する人の感覚が似てるのでしょうか。他にもあるかも,興味がわきます。

 同じ里でも,時代や地域によって違うようです。わが国では現在の1里は36町で,3.9km。ところが,奈良時代の律令制では300歩(ぶ)で0.54km,現在の中国では0.5km,朝鮮では約0.4kmとのことです。万里の長城も,4万kmでなく5千kmとなり,納得できる長さなのですね。

作成:2007/04/20


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