熊本の水、未来へ・・・

 熊本は、環境庁が認定する『名水百選』にも、菊池水源・轟水源・池山水源・白川水源の4ヶ所が選ばれ、「水道水の100%が地下水である」という全国的にも珍しい地域です。浄水器やミネラルウォータがなくても、蛇口をひねればおいしい水が飲めるというのは、日本でもとても珍しいことです。飲料水だけでなく、お風呂や洗濯、トイレなどにも、きれいで美味しい水を惜しげもなく使っています。川の水を洗浄し水道水として使い、浄水器なしには水が消毒くさく飲めない地域も多いと聞きます。熊本市内をはじめ熊本は水に恵まれている事が分かります。

熊本の水に関連のある場所

球磨川・白川・川辺川など
(場所:水前寺公園)
江津湖
公園 水前寺公園
水源 白川水源・轟水源・池山水源・菊池水源
白水村水源(白川水源・塩井水源など)など

(場所:宇土市轟水源)
七滝・せんだん轟など
温泉 黒川温泉・地獄温泉・産山温泉・白水温泉
山賀温泉・玉名温泉・菊地温泉など
熊本の水道水ができるまで
 熊本の水道水のほとんどが地下水なのは、阿蘇の伏流水という豊富な地下水が、県内のいたるところで綺麗な泉として湧いているためです。『全国のおいしい水道』(厚生省調べ)でも、熊本の深井戸が特においしいとされています。※(水が家庭に来るまで・・・)
地下水が作られる過程
  1. 雨が降って雨水が地下に染み込む
  2. 地下水となって蓄えられる
  3. 井戸を掘って地下水をくみ上げる
  4. ろ過、殺菌をして水道水となる。
  5. 水道管を通って各家庭に送られる
  6. 蛇口をひねれば利用できる
(地下水がおいしい理由)
 地上に降った雨水が次第に地下に染み込んでいくうちに、汚れがこされて綺麗になり、地中の炭酸ガスや岩石のミネラル分が溶け込み、その上、水温が一定に保たれるためです。
 
深井戸と浅井戸
上記で熊本の深井戸はおいしいと書きましたが、深井戸と浅井戸という2つの井戸があります。2つの井戸の違いとは、簡単にいうと深さが30m以上かどうかということです。
井戸・・・・。
●浅井戸→ 自由地下水や、伏流水を取水する、比較的浅い(30m以下)井戸。
●深井戸→ 被圧帯水層から取水する、30m以上の深さの井戸。水温は一定で、16℃前後のためおいしい。
(しかし、最近は環境破壊や有害物質の汚染などの問題により、井戸を掘って飲み水にするというのは、難しくなってきました。)

 

川の水を使った水道水
 熊本では地下水を使った水道水というのが普通ですが、他の県ではどうでしょう?
 全国的に、主流となるのは、川からダム、浄水場を通して各家庭へ送られる。と、いうものです。
川の水を使って・・・。
  1. 雨が降って、川に流れ込む
  2. ダムにためる
  3. ダムなどから浄水場に水を取り込み、
    ろ過や消毒処理をする
  4. 水道管を通って各家庭に送られる
  5. 蛇口をひねれば使える
 このように、他の県では川の水を水道水に利用しています。しかし、この場合、水の汚さによっては、直接水が飲めない場合もあります。塩素のにおいが気になるためです。そのため、浄水器が必要となったり、沸騰させてからじゃないと気になって使えないということもあります。また、気候や天候によって左右される場合も。夏には雨が降らずにダムの水がかれて、水不足になり断水・節水をしなければいけないと、いうことにも。
熊本の水問題
 「熊本の水はきれいでおいしい」と、書きましたが、問題もあります。地下水の減少です。年々開発が進み、地下水の源となる雨水が染み込む山林や田畑が減ったこと、アスファルトが増えたため、雨水が地下に吸収されずに川などに流れていってしまうためです。年々、降水量も減ってきています。梅雨に入ったのに、全然雨が降らないこともあります。地下水は減っていることは間違いありません。しかし、私たちは「蛇口をひねればいつでも使える」と、思っています。地下水は無限に存在するものではありません。今、地下水への危機感がないとしても、将来いつまで、地下水によって水道水を確保できるか、それは、分かりません。どうしたら地下水を確保し、豊かな水源を保つことができるのでしょうか?
〜地下水を増やすためには〜
(地下水の量)=(雨水が染み込む量)-(使用量)
 地下水の量は、雨水の染み込む量が多いほど、水の使用量が少ないほど増えるということになる。
(山林や田畑に染み込む量)>(建物や舗装道に染み込む量)
 開発が進むと、地下水の量が減少するとともに、雨水が側溝や河川に一気に流れ込み、河川の氾濫や水害も増加する。雨水を染み込ませる山林や田畑(涵養域:かんよういき)を多く確保することが必要となる。地下水を増やすことは、水害防止や、地盤沈下防止にも役立つ。もちろん、無駄に地下水をくみ上げないことも重要である。地下水を増やすためには、「無駄遣いをやめる」、「涵養域を増やす」のが一番だが、涵養域は増えるどころか減っている。
水田は涵養域でもありダムの役割も果たして
います。 しかし、農業人口の減少や休耕田
などで水田の耕作面積も減少しています。
★減りつづける涵養域
(涵養域とは→水田、畑地、草地、林地、水域など、地下水を染み込ませて蓄えておける場所。)
 地下水は、雨水が涵養域から地下に染み込んだものです。最近、この涵養域が、都市化や産業活動により、市街化され減ってきています。そのため、江津湖や水前寺公園などでも湧水量(湧水の量)が減少し、深刻な問題となっています。そして、このような問題を改善するために、全国的にも雨水浸透施設の普及が広がってきています。
雨水浸透施設
山林や田畑に比べて、建物が建ったところは極端に水の浸透量が減少します。市街化が進むと、地下水の量が減少するとともに、雨水が側溝や河川に一気に流れ込み、水害の原因なります。その対策として、雨水浸透施設を作れば、地下水も増え、河川や側溝に流れる水の量も制御でき、水害なども予防できます。雨水浸透施設といっても、色々な種類あります。
種 類 解       説
透水性舗装 普通の舗装よりきめが粗く、雨水が浸透しやすい構造になっている。
連棟式ビニールハウス雨水浸透施設 ビニールハウスに降った雨は、側溝から川へ流れ込む。そこで、この貴重な水資源を地下にしみ込ませ地下水としてよみがえらせるための施設である。また、農道の冠水防止や都市型洪水の軽減にも役立つ。
浸透性側溝 側溝の側面や底面が水を透しやすい構造になっており、雨水だけを流す側溝にのみ使うことができる。
浸透式駐車場 穴開きブロックに芝を張り、芝の部分から雨水の浸透ができます。また敷地の緑化にも役立つ。
雨水浸透槽 雨水浸透?は土中に埋め込んで、雨どいから流れ込んだ雨を地中に浸透されるもの。
 植林(涵養林)
 森林は、地表に降った雨や雪を地下水にして蓄え、豊かな水源を造ります。そして、洪水を防ぎ渇水を緩和するばかりか、長い年月にわたって、きれいな水の確保に役立っています。それに、山崩れを防いだり、美しい空気を生み出し、貴重な動植物を保護してくれ、木材を生産してくれます。森林は、自然が作り出したダムといえます。しかし、今、都市化などにより森林は消えています。そのため、植林をしていくのです。木が育つには長い期間がかかりすぐに結果が出るものではなく、植林されて木々が大きく成長するにつれ、水を蓄え、また、私たちや次世代の人たちの水になるのです。 
 私たちにできること 
 私たちは、貴重な水を無駄に使ってはいないでしょうか?雨水浸透施設には莫大な費用や年月も必要です。もっと簡単に、自分たちにもできることはないでしょうか?・・・それは、水を節約することです。歯磨きをする時、水を流しっぱなしにしていませんか?その水をとめて使うだけで大分違います。蛇口を開けっ放しのまま、3分間流しっぱなしにすると、約18リットル。それ1日何回も続けばたいへんな量になります。こまめに、蛇口は閉めるように心がけましょう。そして、もう一つ大切なのは家庭から出す排水に注意するという事。家庭排水の中で一番自然に影響をあたえる場所はキッチンです。使い終わった油や食べ残しやゴミをそのまま、排水に流さないように心がけるましょう。川へのゴミの投げ捨てなどもやめましょう。汚れた水が私たちのもとに戻ってくる可能性があるからです。私たちの体内に入ると、ガンを引き起こしたり、肝機能が悪くなったりします。
 このような小さな心がけが「水を守ること・環境を守ること」につながります。熊本のおいしい水を次世代に残していきましょう。

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