熊本文学散歩


海達 公子2

 「海達公子遺稿詩集」より、もう少し紹介致します。

「てふてふ」

てふてふが
ひらひらとんできた
もちっと向ふへ
とんでいけ
あまちゃの花が
さいている
「夕方」

なたねが
きいない
向ふの方に
人のせた馬が
ぼつぼつ通る

(きいない:黄色い)
「学校」

学校へきたら
たった一人であった
机たたいたら
教室一ぱいひびいた
「おみや」

おみやの
たつおと
たん たん たん
大きいまつの木に
ひびいている
「ゆうだち」

ゆうだち
ゆうだち
ばらのはが
おどり出した
「まつむし」

まつむし
なき出した
青い山
「ゆうだち」

ゆうだち
やんで
日がてった
白い
にわとり
こけつこう
「うき草」

小さい小さい
うき草
池いっぱいで
あゆべそう

(あゆべそう
   :歩けそう)
「ばら」

まっかい まっかい
ばらの花
目にはいってるうちに
目つぶって
母ちゃんに
見せにいこう
「かげ」

お日さんが
青い田の上を
白いくもにのって
はしっていった
「やなぎ」

ゆれている
やなぎを
見ていたら
すずめがとまって
ないていた
「にじ」

にじがたった
三日月さんより
大きいな
三日月さんより
きれいだな
以上、すべて大正13〜15年の小学校2年生から4年生にかけての作品です。
<制作>熊本国府高等学校パソコン同好会

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