本校のCMIシステム(2)

    過去から現在、そして未来
        近未来のインテリジェンススクールを目指して


[3]入試管理システム

 それでは、CMIシステムのもう一つの大きな柱である入試管理システムについて述べてみたい。
 本校は昭和45年、富士通の汎用機(FACOM-230-10)を導入した時点から、県下でもトップを切って、入試のコンピュータ処理を実施した歴史を持つのである。しかし、当時の処理は、ただ入試処理のみに限定したものであり、その結果のデータ活用などは考えてなかった。そのため、苦労して入力した(当時のデータ入力は現在から考えると、想像に絶する? 大変な仕事であったらしい。)データを、入試処理だけにしか利用しない、「実に無駄な作業?」であった。そのために、コンピュータ処理を取り止めた経緯をもっていた。
 以上の反省の上にたって、単に一時的な入試処理にとどまることなく、入学後も入試データを活用していくことを前提に、オムロン株式会社の全面的な協力を得て、新しい入試管理システムの開発にあたった。

1.特徴

 本システムではワークステーションをサーバー(後述する)コンピュータとして、ネットワーク上の他のワークステーションやパソコンからデータ入力を含めて、全ての操作が可能なものとなっている。すなわち入試データ入力を最大59台の端末から一斉に行なうことができる。
 これは、ワークステーション及び、そのオペレーティングシステムであるUNIXの特徴やネットワークの機能を活用したものである。
 なお、このシステムの開発は「成績処理システム」のところで紹介したようにUNIX上のRDBMS(リレーショナル・データベース、マネージメント・システム)であるUNIFY及びその開発環境システムであるACCELLを利用したものである。
 サーバー(server)とは、LANなどのネットワーク環境で、データや、プログラムなどのソフトや、コンピュータ周辺機器などのハードを効率的に共同利用するためのシステムである。ファイル管理を一手に引き受けるファイル・サーバーや、プリンタを共有するプリンタ・サーバーなどがある。ファイルの一元管理ができ、データの食い違いなどが生じないメリットがあり、単なるパソコン処理より、入出力の操作が簡単なパソコンと、処理速度の速いワークステーションの特徴を組み合わせることができる利点もある。

2.概要

 本システムの概要を「入力データ」と「出力帳票」とに分けて説明してみたい。
 (各帳票の出力例は資料を参照のこと)

‘力データ
 入学試験の前後に入力するデータは次の通りである。
・出身校コード作成:毎年は追加・訂正のみ
・受験番号:受験番号で入試種別(推薦、一般)と受験学科を区分
・受験学科:直前入力データを保存
・第二希望:直前入力データを保存
・ふりがな:入学後のクラス編成時、氏名の50音順ソートに利用
・氏名  :ふりがなを入力することで、漢字変換データにもなる
・出身中学名:中学校名コード番号による、直前入力データを保存
・郵便番号:直前入力データを保存
・住所  :直前入力データを保存
・入試教科別得点
・備考
・合格点数
・転科合格
・入学の有無
⊇侘歪票(資料参照)
・出身校コード一覧
・受験生一覧(入力データチェック用、推薦・一般)
・受験生住所一覧(  〃      推薦・一般)
・受験教室座席表(推薦・一般)
・受験番号順成績一覧(推薦・一般、情報処理・商業)
・高得点順成績一覧(推薦・一般、情報処理・商業)
・科目別得点分布・平均点等(推薦・一般、情報処理・商業)
・合計点得点分布(推薦・一般、情報処理・商業)
・合格者一覧(推薦・一般、情報処理・商業)
・掲示用合格者氏名(推薦・一般、情報処理・商業)
・合格者への通知書(住所あて名を含む、受験者別)
・入学者一覧(クラス別)
・クラス別名票
・クラス別入試成績表
・受験者台帳(推薦・一般、情報処理・商業)
・出身校別一覧(推薦・一般)
・出身地区別一覧(推薦・一般)
・受験・合格・入学者数一覧
・受験・合格・入学者数一覧(転科調整)
出力データ(入学者のパソコン処理用)
 入学後のコンピュータ処理データとして、以下のデータをクラス別に作成して、クラス担任や学年に渡す。(「UNIX」から「MS−DOS」そして、「1−2−3」へのコンバート)
・氏名
・ふりがな
・郵便番号
・住所
・入試成績
・入試区分・
い修梁
 ◆↓0奮阿貌試データベースの機能であるSQL言語を利用して、下記のような様々な必要あるデータ出力を自由に行なうことができる。
・合格者の同姓同名者
・双生児調査
・推薦・一般の両試験受験者
・特技特待生一覧
・入学者の度数分布や教科別・合計点の平均点など
・その他

 SQLとは「Structured Query Language」の略、「構造化問い合わせ言語」といって、リレーショナル・データ・ベースを操作して、データの検索や修正、削除といった命令語である。米国IBMが最初開発し、現在では大型コンピュータからパソコンまで、多くの標準的なデータ・ベース言語として採用されており、そのためにこれからのパソコンを含めたデータベース問い合わせ言語の標準になると見られている。簡単な英文で条件を指定でき、データの抽出や表示などを行なうことができる。

3.処理手順

 それでは入試システムの処理手順を順を追って説明したい。

  1. 願書受け付け(受け付けより随時)、受け付けた願書により受験生DATA(受験番号・氏名・出身中学名・郵便番号・住所)を順次入力。入力次第、プリントアウトして順次データのチェック。
  2. 準備(入試前日まで)、受験教室ごとの座席表プリント出力。
  3. 成績DATA入力(入試当日)採点終了した科目から成績を入力し、入力の完了したものから順次プリントアウトし、入力データのチェック。
  4. 成績集計(入試当日)、全データの入力後、受験番号順・高点順一覧、及び、得点分布表や平均点・最高点・最低点などを出力する。
  5. 入試判定会議資料作成(成績集計と平行)
  6. 合否判定(判定会後)、判定会の合否ライン(点数)やデータをもとに、一括や個別に合否を決定。転科合格も一括・個別が可。
  7. 合格発表、合格者の名簿を受験番号順にプリントアウトする。拡大文字はドットプリンタで出力し、掲示用に利用。合格通知書は、個人毎に宛て名書きされて出力されるので、通知係が、3つ折にして窓付き封筒に入れて投函。
  8. 入学手続き、入学手続きが完了したもの(入学金と合格者招集日出席)を入力し、入学者リストをプリントアウトして、チェック。
  9. クラス分け、試験の高点順に自動的にクラス分けをし、クラス別に50音順名簿が出力されるが、その後、個別に入れ替え操作が可能なので、変更後再出力可。
  10. 入試台帳作成、入試DATAをまとめて台帳として出力するとともに、各種の統計(出身中学・地区別一覧表)を出力。
  11. クラス別入試データ出力、入学者の入試DATAを在学期間中、効果的にパソコン等で利用できるるように、クラス毎にパソコン(1−2−3)データとして出力。

4.終わりに(今後への問題提起を含めて)

 従来までの方法をそのままコンピュータ処理に変更したのだが、受験者名や住所までデータ入力しなければならなかったので、「(3)入試処理手順」の,鮟いた他の◆銑の処理については、予想以上の時間短縮となり、従来までは3日で処理していたのが、2日で終えることができるようになった。
 しかし、従来の方法を踏襲したものとはいえ、実際に操作してみると様々な問題点を抱えてくるものである。手処理とコンピュータ処理では、自ずと作業手順や出力手順に違いがあることを再認識し、今後の更なるシステム改良をはかっていかねばと思う。また、パソコンへのデータ変換などを自動化して、誰でもが使えるシステムに統合することが今後の課題であろう。


[4]体育関係データ処理

 体育関係では様々なデータを処理することが多いので、パソコン処理の利点は、多い。本校でもまだ、組織的な活用とまではいえないが、体力測定や成績集計処理、駅伝記録集計等への活用が着実に進みつつある。中でも、岡野教諭の陸上競技分野(年間の種目別熊本県50傑の集計や各種駅伝記録集計など)への活用は、注目に値する。以下、その中から、駅伝記録集計を例に説明してみたい。

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 以下のデータを適宜入力するのであるが、タイムの入力も「1時間23分4秒」ならば、「12304」と入力するだけで、自動的に「時間」「分」「秒」を判断し、処理していけるように工夫されている。
・チーム名(競技当日まで)
・選手名(競技当日まで)
・区間通過タイム
・繰り上げタイム
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 ,離如璽燭鯑力すれば、以下のデータを集計して各種の必要帳票(入力データ表、記録集計表など)を印刷出力する。
・区間タイム
・区間順位
・累計タイム
・累計順位

 また、これもやはり「ロータス1−2−3」を利用しているので、入力・出力のデータ形式が自由に、しかも、手軽に変更できることも特徴となっている。
 1例として、今年2月のRKK女子駅伝の中学の部の出力帳票のひとつを、後の資料に含めているので、ご参照のほどを。


[5]当初目標と今後への期待

 入学から卒業までの教務処理を一連の流れとしてとらえ、総合的に管理処理できるシステムが目標である。各試験の処理はもとより、通知表や、生徒指導要録及び、調査書作成等に関する総合的なデータ処理を考えている。
 CMI処理領域を、最小限でも「入学試験データ」を出発点に3年生での「調査書作成」までは考えていきたい。当初(平成1年度末)次のような手順と内容をCMIパートでは提起していたのだが、今年度までに処理できたのは、あくまでもその一部分であった。諸条件面で、簡単に実施できないものも含まれてはいるが、各部門担当者との話し合いをすすめて実現への可能性を模索していきたい。

1.CMIへの当初目標

       磁磁磁磁祉B達唯part検討資料(平成2年3月)より

<学年はじめの事務処理>
 入試DATAからの受験番号・生徒名・出身中学名・合計点数と新たに担任名(主任・副担)入力
  1. クラス分け一覧表(受験番号順、2・3年は旧クラス別)
  2. 名票原稿(主任・担任・副担任名、番号・氏名・出身校)生年月日・住所・保護者名・電話番号の入力(2・3年は修正)
  3. クラス別生徒台帳(保護者名・生年月日含む)
  4. クラス別住所録
<実力テスト処理> 教科別点数入力(4〜5教科)磁磁磁磁磁祉U飢蔽看
  1. クラス別成績一覧表(高点順・名簿順)
  2. 学年別一覧表(上位者)
  3. 個人成績表(クラス教科平均と個人成績、学年順位)
<中間テスト処理>
 教科別点数入力
  1. クラス別成績一覧表(高点順・名簿順)
  2. 個人成績表(教科平均と個人成績)
<1・2学期及び学年成績処理>
 保健データ入力(1学期のみ)
 教科別単位入力(1度だけ)
 検定合格者(年月日も)入力(その都度)
 教科別点数入力(各学期末、教科担任)
 出欠記録入力
  1. クラス別成績一覧表(高点順・名簿順)
  2. クラス別役員・部活動・検定・出欠等一覧、教科別欠課時数は?
  3. 個人別家庭通知表(成績・出欠・検定・健康)磁磁磁磁磁祉S弔C吠筺
  4. 教科別成績不良者一覧表
<進路関係処理>
 他での、データ入力だけで充分かの検討を要する
  1. 校内選考生徒別資料(申し込み書)
  2. 調査書(進学・就職用)
  3. 成績証明書
  4. 在学・卒業見込み・卒業証明書(進路関係については成績処理関係と独立した部分が他に多数ある。)
<保健データ処理>
 身体測定・各種検診DATA入力(「保健データ入力」と重複するのも?)
  1. クラス別一覧表
  2. 統計調査書類(学年ごと全生徒対象と無作為抽出、関係機関提出用)
<同窓会事務>
  1. 同窓会名簿(第3学年卒業時のデータ活用) (以上、検討資料より)

2.今後への期待

 以上のように、まだ検討の余地が多いままの単なる項目羅列である。これ以外にも処理できるデータも多々あるので、今後検討を重ねなければならない。教育現場での日常業務では、コンピュータの利用価値が非常に大である。しかも、手作業の場合と違い、コンピュータを利用した場合は、利用すればするほど情報が蓄積され、再利用できるようになり、内容も充実し、更に効率的な作業ができるようになるのではと思う。
 しかし、これだけのデータだけでも合わせれば大変なものである。これをうまく効率よく利用していくには簡単ではない。そのためにはデータの整理、機密性、保全性など検討する事項が多くなり、より綿密で専門的な計画・設計や知識が必要にもなる。このように書いてくると、ここでいうCMIの究極は学校「データベース」の構築と、その管理運用ということになるかも知れない。しかし、単なるデータベースであってはならない、真に教育的で評価や分析など教育をサポートする総合的なシステムでなければならないことは当然のことである。
 何はともあれ、いつでもどこででも、成績を含めた生徒データが、検索・出力できるシステムを目指している。


[6]終わりに(パソコン利用で人間的教育の再発見を!)

 以上述べてきた以外にも、進路指導室における進路関係データ処理、生徒部の自転車通学生データ処理、教務部における追試験データ処理など数多くあげられる。それ以外にも、また各部門や個人ごとにも「パソコンが無ければ学校機能が停止してしまう」といっても過言ではないという雰囲気が校内を漂い始めている。
 また、本校CMIの最大の特色は、全職員によるCMIであるということであろう。少なくとも、クラス担任は全員がパソコンを操って成績データを入力し、各種の帳票を出力しているのである。一部の職員だけで操作するCMIではないことを強調したい。また、単なる夏期職員研修の時だけでなく、日常的に職員室のパソコンとの戯れと遊び(?)を通じたパソコン知識の自然なる修得も見逃せない特色ではないかとも考える。
 次第にパソコンの利用が職員全体に広がっていくなかで、職員間でのパソコンへのアレルギーもいつの間にか消滅していったようだ。自分で使えば、邪魔というより、むしろ必要なものとなるのである。パソコンを職員室に導入したことは大成功であったといえよう。
 CMIの最大の目的は事務業務の軽減化、労働時間の短縮であり、それで生み出される時間を人間的で、より細やかな生徒指導に有効に利用していくことである。そして、コンピュータに使われるのではなく、コンピュータを使い切ることが大切であることは言うまでもない。コンピュータ社会の目指すところは、冷酷な機械的な社会ではなく、人間性を再発見できる、より人間的な社会である。何はともあれ、本校のCMIは、今やっと始まったところで、これからの更なる充実と発展に期待するとともに、パソコンコーナーが職員間のコミュニティー広場となり、この広場から更なる新しい発想と夢が展開していくことを期待したい。

 「パソコン」は「発想広夢」だ!

      1992年3月 (nari記)


[1]〜[2]は

本校のCMIシステム(1)です


文責:成田

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