しし座流星雨 (2001.11.19未明)

流星が絶え間なく降り注いだ、2001年11月19日未明の夜空

歴史に残る大出現です!
1時間あたり数千個、最も多いときで、1秒に1個は流れていました。
5〜10個ほどの流星が同時に飛ぶこともあり、その光景は圧巻でした。
日本でこれだけの流星が出現したのは、100数十年ぶりと言われています。

私が撮った写真を紹介します。
(ISO800のフィルム使用、ほとんどの写真は露出30秒、トリミング)

流星雨
わずか30秒の露出で、これだけの流星が…!




大火球
「火球」とは、非常に明るい流星のことです。
爆発するような強い光を放ち、
その瞬間、まるで稲光のように
夜空がピカッと光りました。

おうし座を横切る流星
有名な2つの星団と土星のそばを横切っています。




複数の流星が同じ方向に流れています。
暗い流星はちょっと見えにくくなっています。

放射状に飛び出す流星(4枚合成)
しし座流星群は、しし座の決まった所から放射状に飛び出すようにして流れる事からその名があります。この写真では、十字で記したしし座の放射点から流星が放射状に飛び出す様子が判ります。




流星痕
これは、明るい流星が残した”跡”です。
肉眼でもくっきり見えました。
地球上空の大気に流され、煙のように形を変えていきます。

阿蘇山と流星
私が観測した場所は、阿蘇外輪山の山の上です。
この写真に写っているのは、カルデラの向こうの阿蘇山。
帯状に漂う流星痕も印象的です。




流星と流星痕
右側に見えるのが、シャッターを切る前に現れた流星が残した「流星痕」です。青い色に輝くのは、流星痕のガスの成分によるものでしょう。80km〜150km上空で形を変えながらぼんやり輝く流星痕もまた美しいものでした。

流星コレクション
一晩で1万個以上の流星が飛んだこの夜。
現れる位置によって、流星は色んな見え方をしました。
長い流星、短い流星、爆発する流星、一度消えてからまた現れる流星など、私達を楽しませてくれました。
(高解像度の元画像はこちらにあります)


今回の流星雨を見て判った事

・流星の出現にはムラがある。
いっぺんにドワーッと流れたと思うと、その後しばらく流れなくなったりする。

・「同時出現」が多い!
同じ明るさの2〜7個ぐらいの流星が固まって飛ぶことが多かった。10個ぐらい同時に現れたときもあって驚かされた。同じ場所に続けて連続で現れるのもあった。

・火球が多い!!(「火球」とは非常に明るい流星のことです)
今回の流星雨では、目も眩むばかりの明るい火球が頻繁に現れ、あちこちに流星痕が漂っていた。

・どの流星も飛んだ直後に光の筋が「サッ」と後を追うように現れる。
・火球の中には緑色に鋭く輝くものがある。
・まるで稲光のように眩しい火球は、ほとんど永続痕を残す。
・永続痕を双眼鏡で見ると、ぼんやり淡く輝きながら形を変えながら地球上空を流れていく様子がはっきり見えた。
・永続痕の形状は、棒状やバナナ状に見え、星雲と違い輪郭がくっきりしている。

余談

・流星雨を見ている時、その光景が信じられず、本当に「夢を見ている」ような感じがした。
・寒さの震えが感動の震えに変わった。
・夜明け前、火球がバンバン流れたが、火球にも見慣れてしまい刺激を感じなくなった現実が恐ろしい!
・撮影した3本のフィルムのうち最後の1本は、フィルムが巻けてなかった! 朝焼けの中の火球をたくさん写せたつもりだったので、悔しい!!
・4〜5時間もの間流星雨を見ていたので、流星が飛びまくる光景が目に焼きついてしまい、しばらくは流星雨の残像現象におかされた。
・大量の観測道具一式を背負って、究極の場所を目指し無理して暗闇の登山をしたせいで、転んで怪我してしまった。



 しし座流星群2001 計数観測記録
2001年11月19日午前0時から2時までに出現した流星の記録です。
見ることができた全ての流星のデータを掲載しています。
何時何分にどんな流星が流れたのかがわかります。。

2001年は、ひたすら11月19日を楽しみに過ごしてきました。2年程前から、天文研究家の惑星引力との関係も取り込んだ軌道計算に基づく研究により、「2001年11月19日未明に日本でしし座流星群が大出現する」と言われていたからです。しかも、その研究家による流星大出現予想は、1999年・2000年のしし座流星群出現数・ピーク時刻を正確に言い当てた前歴があっただけに、2001年11月19日未明の日本での大出現もかなりの確率で当たるものと思われたのです。そうして迎えた期待の2001年…。
 春、「あと半年か…」と思いながらも、あまり飛ばないみずがめ群に目を向けていた。夏、年間最大の流星群であるペルセ群を見た時も、極大日の夜に1個だけ流星を見ただけなのに満足していた。そして、9月。あと2ヵ月を切り、私は心の準備を始めた。観測計画も練り始めた。
 そして、あと1ヵ月と押し迫った、10月! 私は生活を夜型に変え、静かな夜に毎晩雑誌などから突発出現メカニズムを徹底理解する事に努めた。そして、今年のしし群の大出現を多くの人々に知ってもらうため、しし群のページを開設し、徹底的に案内した。そして、いよいよ11月に突入すると、もう私は、来る日も来る日も流星嵐のことで頭がいっぱいになっていた。そして、観測・撮影は悔いの残らないパーフェクトなものにしようと、観測計画も最終段階に入った。そして、2001年11月19日まであと10日を切ると、もう生活そのものが流星嵐一色に染まっていた。
 そうして訪れた、約束の日、2001年11月18日。夜になり、山へ出かけ、しばらくするとビュンビュン流星が飛び始めた。しし座が地平から出たばかりの頃にあの出現である。私は流星雨は確実に起こると楽しみになった。そして午前1時。目まぐるしく流星の数が増え、やがて数秒おきに流星が空のどこかで現れるようになった。そして午前2時。もう流星は絶え間なく降り注ぐようになった! 午前3時、群れをなして幾つもの流星が同時に出現! しし座の逆?字を中心として放射状にバァーッと飛び出す様は、本当に迫力があった。真正面には地平線に落ちる流星の群れ、頭の上には数個同時にビューっと飛んでいく流星の群れ、後ろの西空では、平行に遠ざかる流星の群れが、おうし座だろうがふたご座だろうがオリオン座だろうがおかまいなしに切り裂いていっていた!! 私は立ち尽くし、「うわぁ…すげぇ…」としか言葉が出なかった。もう、流星の雨、涙の雨、感動の嵐である!!!
 1時間に数千個の流星が飛んだが、期待していた1時間1万個以上の「流星嵐」と呼べる規模にはならなかった。だから、2001年11月19日未明の流星大出現のことを「しし座流星雨2001」と呼ぶ事にしたい。最高でした、しし座流星雨2001!!