部分日食 (1998. 8.22) 熊本

最も欠けた時(最大食分)の写真

望遠鏡からの太陽の像を、白紙に投影したものです。太陽の左側がほんのちょっと月に隠されているのが判ります。
欠ける割合(食分)はわずかに7%でした。

1998. 8.22 部分日食データ (熊本)
欠け始め 9時23分
最大食分 9時57分
食の終わり 10時33分
食分 0.07
部分日食継続時間 01時間10分
1998年8月22日、1年5ヵ月ぶりに日食が見られました。昔から見るのが夢だった日食。実はこの1年前の1997年3月9日に初観測をしたので、今回の観測は2度目ということになります。ということで、やはり2度目の観測なので、初めて見たときほど楽しみにはせず、「とりあえず見よう」と思って当日を迎えたわけでした。

 この日、天気が心配されたものの、予報は外れ、何とか朝から日が射していました。でも薄曇りって感じ。ところで今回の日食は、前回見た日食の食分65%に比べ、極めて食分が小さく、太陽のほんの一部だけが欠けるささやかな日食で、食分(月に隠される面積の割合)もわずかに7%だったと思います。だから、期待もせず、この8月22日を迎えたんです。そして、日食が始まる2時間ほど前から、私は突然急いで、反射望遠鏡の先端に太陽の減光用のフィルターとして付ける黒いフィルターを作り始めました。なぜなら、元々使うつもりでいた太陽減光フィルター「サングラス」は、前回の日食のとき減光量が大きすぎて、暗く、像もはっきり見えなかったから、もっと淡いフィルターを使いたく、自作を決意したのです。そうして、弁当のプラスチックのフタに習字の墨汁で黒く染めてフィルターを自作したのですが、隙間が多すぎて使い物にならなかったのです。だから、急遽黒いゴミ袋を二枚重ねぐらいにして、それをフィルターとして使ってみることにした。しかし、太陽はきちんと見ることができずこれまた使い物にならなかったから没になりました。だから結局、太陽フィルター「サングラス」を切り取ったものを使うことにしました。そして、日食が近付くにつれ、私もいよいよ観測準備をやりました。観測に使う道具類を、観測場所であるテラスへと持ち運ぶ。色んな数々の物を運び出し、悔いのない素晴らしい日食観測が行えるように色んな物を取り揃えました。そして、準備が終わると、もう太陽が欠け始める(日食が始まる)AM9:23が数分後に控えており、望遠鏡の低倍率で太陽を捉え、その時を待ちました。

 そして、AM9:23になった!!! 1年5ヵ月前の緊張が蘇る。私は、望遠鏡を覗いて太陽のどの部分が欠けるか用心深く見つめました。しばらくして、向かって左側の縁がちょっと欠けたような気がした。しかし確信が持てなかった。でも、またしばらくすると、そこが確実にへこんで来てたので、太陽が欠けたのを確認しました。そうして、日食が始まり、太陽は徐々に欠けていったのだが、前回の1997年3月9日の日食の時のように興奮してはおらず、リラックスしまくってたので、日食を存分に堪能しながら観測したんですな。直焦撮影はムリなので、フィルター外して接眼部から白紙に投影した日食の太陽像を一眼レフで撮ったりしました(画像参照)。また、直焦フィルター越しにアイピースから見るより、フィルター外して紙に投影した像を見たほうが像も鮮明で見やすかったので、この2つの観測法を交互に繰り返しながら観ていました。欠け始めて間もないうちはサングラス越しに肉眼で太陽を見ても欠けているのは判らなかったが、大分欠けてくると、肉眼でも判った。

 そしてAM9:57に、写真のように今回の日食の最大食分をむかえた。なかなか投影像を直接撮ろうとしてもピントが合わず苦戦して苦しかったが、でもちゃんと撮れました。今回の日食は真夏だったので、終始暑く、準備してた麦茶も飲み干したことよ。ともあれ、投影した像を見て、太陽の輪郭より月に隠された欠け際のほうがくっきりしているのが判った。今回は食分が大変小さいためもちろん前回の日食の時のように辺りが暗くなったり涼しくなったりはしなかったが、でも、今回の日食は最後まで楽しく観測ができて、いい思い出となった。前回の日食のときは、最大食分過ぎたら不愉快な気分になりもう見ずに片付けてしまったが、今回の日食は、日食が終わりもとの太陽に戻る最後の時まで観測していたのでよかった。やっぱ部分日食ってそう感動的ではなかったが、今度は皆既日食みるもんねー。